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医者の本音

私の医師になるまでの自伝みたいなものです。

  2.何故精神科を?(医学生時代〜医師へ)
 
 
 大学に進学すると家を出て念願の一人暮らしを始めました。

というか、わざと自宅から通えない大学を選び受験していたんですけどね。

 一人暮らしは大変でしたが、それ以上に生まれて初めて親からの解放感と躍動感で心が張り裂けそうでした。医者になるプレッシャーよりも、とにかく遊ぼう!と思いましたが、医学部の授業料は高いので、何とか留年はしないくらいは勉強しようと思っていました。



 医学部に入学してから医師になるまで6年間かかります。医学生の時には専門はなく、まずは英語、数学などの一般教養から生理学、発生学、解剖学、組織学なんかの基礎医学を経て、最後に全ての科、つまり内科や外科、産婦人科などの臨床医学を学びます。その他、法医学や薬理学、統計学、公衆衛生学など、医療に関係あることは全て勉強します。

   
 私の通っていた大学では大体4年生までにそれらを授業で学び、2年生の時に人体解剖実習、5年生になるとポリクリと呼ばれる病棟実習が始まります。全部の科を少人数の班に分かれて大体1、2ヶ月ごとに2年かけてローテーションするんですよ。色々な病棟を回って自分がどこの科に進むのかを決めるんですね。それで国家試験合格後に希望の科の医局に入り研修医から始めるといった感じです。

 今思えば4年生までは、あんまり学校に行かずにサークル活動と夜遊びばっかりしてたかもしれません。文系の大学に通っている友人と、毎週のように合コンやクラブに行ったり、ナンパばかりしていたのを覚えています。
(その頃を知っている人は、私に診て貰おうとは思わないでしょう。)

 その分試験前の同級生のノートのコピー代で1万円くらいかかっていました。持ち前の要領の良さで何とか留年せずに進めたんですけどね。




 
 私はポリクリ(病院実習)を始める前には将来は父と同じ内科に行こうと思っておりましたが、精神科を実習した時に精神科に行こうと決めました。理由としては精神科の患者さんは本人だけでなく、家族も悲惨であるということと、その対応や治療の難しさ、家族と相談しつつ長期的に付き合っていくことが他の科と違い非常に魅力でした。

 他科であれば症状を薬で治したり、悪いところを手術で取り除いたりして治療は終わりですが、精神科の場合はその人の症状が改善しても社会適応できるまで面倒みるんですよね。

 良くなるまで時間がかかりますが、良くなった時には一番他覚的にわかると思います。それに治療以外でもケースワークや家族指導が治療には不可欠であり、医学以外の知識も必要なんですよ。病気と向き合うというよりは患者と向き合うことが一番実感できると思ったんですね。

 さらに北里大学病院の精神科は全国でも珍しく、病床が120床もあり、なんと保護室やデイケアもあったんです。実習の時にはこの保護室というのが非常に衝撃的でした。保護室とは暴れる患者さん用の部屋で、トイレと監視カメラと小さな窓しかないんです。そういう中で一日中大声をあげている患者さん・・・、本当に可哀そうでした。そしてその家族も・・・

 また同大学は私が大学生頃は精神薬理学的には日本一であり、世界的に有名な先生も何人かいました。(教授が変わってからは皆辞めてしまいましたが・・)当時は精神科を実習するにはここしかないくらい充実した大学病院だったんです。
 
 

 そういう訳で精神科を選んだ訳ですが、父親は大反対でした。父親は内科の開業医でしたし、その時代は精神科というのはマイナーで偏見に満ち溢れていたんです。

「お前を精神科医にするために医学部に行かせたのではない!

と猛反対を受けましたが、その時には

「自分の人生なんだからいいだろ!今まで浪人も留年もしないで、
 必死に勉強して、あんたの言うことを聞いてきたんだから!!」


と説得(ケンカ?)しつつ入局した訳です。今思えばその時初めて親に自分の主張をぶつけることが出来たんだと思います。

 
 今の時代では非常に患者さんも増えているし、難しい分、やりがいも大きいです。最初に精神科を選んで本当に良かったと思っております。
 
 



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